狂気の愛/天野茂典
 
込むことだ
 いくら白髪でも女は恋しい
 人間という宇宙
 呼びあうこだまのような存在なのだ
 雄螺子と雌螺子があるように陽子反陽子なのだ
 レモンをしぼる
 レモンをかける
 いくらか染みたか
 人間なんて染みるものなのだ
 発砲するのは
 そんなときだ
 アルベール・カミュのような不条理 
 アルジェリアの太陽が引き金をひくのだ
 犯罪者はいない
 推定無罪だ


 太陽がもえているのだ
 あと22億年の地球のいのち

 蛇がとぐろを巻いている

 藪のなかは草いきれがしている


 雑草の生命力だ
 否定できない

 いっぽう地球は砂漠化している
 緑がすくない

 白髪の拳銃
 もみじのように

 路上を血でそめようか

 手をかけるのはわれわれ自身だ

 見えないものの的にむかって
 バン

 
 狂気の愛*



 ざくろを潰せ!

                       *アンドレ・ブルトン

                        2004・10・4
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