ブロントザウルスの骸骨/……とある蛙
またぞろ、首都に恐竜の骨が現れた。
しかも泡の抜け殻で
唸りを上げて
ブロントザウルスの首の骨は
子供達の学んだ校舎を
子供達の遊んだ公園を
今は髭の生えている
今は化粧の香のする
子供達の想い出を
その親たちの想い出を
物理的に破壊する。
下顎だけで
キャタピラの付いたトリケラトプスは
子供達の走った校庭を
子供達が親しんだ公園の花壇を
今は酒を飲み
今は煙草を吸う
子供達の遠い記憶を
その家族の楽しかった記憶を
物理的に掘り起こし、地中深く埋める。
誰かのためだと言われるが、
もう誰も期待もしなければ
必要ともしない。
働くものには仕事が必要だ
会社にも仕事が必要だ
と 自分勝手な利益主義
決めたことだから やるだけだ
と 忘れた頃に再開発四〇年
入学式の集合写真
一本写った大きな桜が
今年は咲かずに行方不明
誰が決めたんだこんなくだらないこと
と騒いだところで
決めた奴は死んでいる
泡の無くなった風呂上がりの湯冷めで
戻る 編 削 Point(11)