オドゥ山統一展望台から見る詩/はらだよしひろ
 
牛車を曳く農夫
遠くを望む展望鏡のすぐ目の前には
トーチカが控えていて
漢江は緩緩と流れている

車は無く、舗装された道さえ知らないであろう人々が
彼らは幸せを感じているのだろうかと思えるほどの
陽射しの中で、確かに歩いていた

ここでは小学生達が野外学習なのだろうか
はしゃいでいた
昔、銃を向け合ったこの場所で
展望鏡を覗く眼差しが向ける悲しみとはよそに

ここのすぐ周りの木々は春に息づいて
花を彩っている
漢江の向こう岸には、山に木さえ生えていない

それでも長閑な時なのだろう
犬を連れて散歩する夫婦を見受けた

この国では向こう岸にある国をプガンと言
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