夜の詩を読む/番田
僕の立っていた
その深夜の中にひとつとしてすら見えない
世界を流れる 一人の夜のそのひとつとしてすら
そこに見えた路地裏へと立っていた
海の その遠浅の世界だ
君が立っていた深夜の
そこになにかとしてすら 見えないだけの
落書きを立っていた あるいは 祈りの世界だった
雲のなにひとつとしてすら 見えない
旅客機を立っていた気のする そんな寂しさだった
誰かが立っていたような気がする、そうではなかった気のする だが
そうではなかった気がした夜の真夜中の人ではない 暗い考えを満たされている
僕には誰かの詩を読まされたときのような寂しい感じだけがしている その
誰かの詩など読まなかった僕の空っぽな虚ろさだった
けれど言葉ではないリズムだけの心の中を満たされているような感覚がしている
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