こくはつします。/あぐり
椅子が飛んだ
担任が投げたのだけれど
もう彼は安心してくださいね
なんて
言わなかった
わたしはもうわたしたちの思考を知らないまま
あぁそういえば飛ぶ教室という本があった、
あれは児童文学の金字塔であると言われていたなぁと思いつつ
もうすでにばらばらに足が飛び散っているだろう「椅子」を
思うことなくひたすらに文字を書き詰めていたのだ
なんにも
なんにもなかった
わたしは正直くやしくて
様々な理論でその担任をねじ伏せたくて仕方なかった
不条理の権化みたいなその教師にむかって平手でもなんでもくらわせてやりたかった
「先生、椅子を投げるのは間違っています。先生、確かに新
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