ウイリーの風/剣屋
ライパンの中にサラダ油を大量に注ぎこみ、180度に加熱した液体を私の頭へ遠慮なくかける。鼓膜が破れるほどの罵声を私に浴びせる。出刃包丁で幾度も私の全身を刺そうと試みる。他にも様々な手段を用いて私を苦しめた。肉親であるはずの私は娘のストレスのはけ口でしかなかった。これでわかったろう。私の顔が醜く焼け爛れていることが。なんなら服を捲って刺し傷を見せてもいい。……最終的に私は実の娘に殺されそうになったんだよ。大笑いさ。手塩にかけて育ててきた娘に殺されかけるというのはね。私は狂乱した娘から逃げるため会社に異動届を出した。事情は伏せておいたが受理され赴任先を変えた。その当時娘は今のキリコさんと同じ年齢で大学
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