ウイリーの風/剣屋
んだ。深夜かつ山中なので来るには暫く時間がかかるとのことだった。また最寄りの交番にも連絡を入れ、こちらも若干の時間がかかるとのことだった。
そうしている間に、ゼロと醜い男が連れ立ってやってきた。ゼロは醜い男の首根っこを掴んでひきずり回したあとに、キリコとナナメの傍らに投げ飛ばした。醜い男は先端の欠けた小石のように転がった。するとしょんぼりとした顔をして、乱れた姿勢で地面に座った。
醜い男を見下すようにゼロが言う。
「さあ早くキリコの手錠と指錠を外せ」
醜い男は背広のポケットから鍵を取り出し、ゼロにおろおろとした手つきで渡した。
キリコの手首の自由を奪っていた手錠と指錠がゼロの持つ
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