ほろび / ****'04/小野 一縷
-G・Tへ捧ぐ -
子孫よ
白い鍵盤が赤く汚され
衛生兵が興奮剤に溺れる時
歴史ある一族の名のもとに お前たちは 滅びる
旋律が止む
静寂
銃声
窓辺の鳩が飛び立つ
唇が そっと血を流す
グレーテ・・・
お前の その白い肢体の 恥じらいを
甘えながら 貪った 私は 今
ここ グローデクで
ある者は股を裂かれ
ある者は顎を砕かれ
また ある者は目玉を
また ある者は腸を垂らし
続々と麻袋に詰められ 運ばれる
お前のピアノの調べを もう一度 聴きたい
黄金色の夕べ
パンと葡萄酒は甘く
優しげな親族の霊が集い
語らいは静か
※アトスウジツデカエレルアニヨリアイヲコメテ※
黙祷を銃撃する雨音
そして 重い棺の蓋が閉じられる
恒星が 二つ生まれ
星たちの運びが 古い一族の滅亡を記した その夜
戻る 編 削 Point(6)