雨が降り出した/
夏川ゆう
ふと気がつけば雨が降っていた
夕暮れを足早に闇へと変える
今読んでいた小説の中でも
丁度雨が降り出したところだった
「デートの日はいつも雨になるね」
主人公の男が言っているのを
彼氏にあてはめてぼんやり考えた
「でもあまりしっくりこないなぁ」
雨で滲む街の光を見据えて
リビングのカーテンをそっと閉めた
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