くすんでないくすんでないくすんでないぞ/真島正人
 
かい部分を触ると
いろいろなことがすぐにわかった
どういうわけでもなく、なんとなく
いろいろなことが
「わかった」はずなのだが

そんな感覚をなくしてから

もう20年が過ぎた

私は嘲笑し
なんでもなくなり、
より背景に溶け込みやすくなったことだけを
確認し
容認し
祝福し
ドアを一つ
自動のドアを抜けると

先に少し登場した姉に
よく似た女とすれ違ったような気がした

その女の口元に
呪文のようなものが
張り付いているような気がしたが

気のせいに違いがないのだ


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