「 秋の雨 」/椎名
朝から降り続ける雨
空から細い糸が降りてくる
しとしとしとしと
やむことを忘れたように
濡らしてゆく
乾き始めたこころを
夏の暑さで蒸発してしまったこころの水分
やさしさとか
落ち着きとか
感じやすさとか
乾いていたから
カサついていたから
いじわるな気持ちばかりが増殖して
見なくていいものまで
見てしまった
出さなくていい言葉まで
出してしまった
雨
雨
たしなめるように
やさしく
静かに舞い降りる
細い細い糸のように
素直になってゆくこころ
きっと明日は笑える
この雨が止めば
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