流些の刻 / ****'01/小野 一縷
 



無色の眼光に崩壊した空は いまだ自転の歯車を回し続ける 
微かに揺れている 渦巻いた日蝕の環に 写影機は 操られている
非具象絵画が 乱雑な閃光に 連写される
既に太陽と月は 暦を稼動させる数種の仕組の 一つずつでしかない
真円の回転が螺旋状に解れる変成は 暦法上に定められていた
短針と長針の関係性から 角度の概念が失われるころ
秒針の尖端から程遠い
針穴で慄いている動力の倦怠は 弛緩を欲し始める
暗闇の中の12音階の11番目は 13個の衛星に 守られている
13番目の月は氷の星
収縮しながら拡散して 光をこぼす星雲の只中に
過去の彼方から飛び込んだ 蒼灰色の燕星
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