ドーナッツ/ホロウ・シカエルボク
ウンターには昨日と同じあばたの娘が居て
俺の顔を見ると眉だけで不雑な心境を雄弁に語った
店には俺とその娘の二人しか居なかった
非常に厳粛な空気の中二つのオールドファッションが揚げられた
今日のそれはちょっと記憶にないほど美味いドーナッツだった
一口ずつゆっくりと味わいながら食べた
コーヒーはすべて食べ終わるまで口をつけなかった
レジで金を払うときに娘はフフンという顔をしてみせた
俺はヒンドゥーの祈りのポーズで答えた
妙なシンパシーに戸惑いながら店を出ると
昨日公園でモドしていた女が若い男を連れて颯爽と歩いていた
シックな薄いピンクのスーツを着ていた
タイト・スカートに包まれた尻は
ハルク・ホーガンの力こぶみたいにキュッとしていた
彼女の歩調に合わせてコンバット・マーチを吹いた
一日は確かに少しずつ変化をしているのだ
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