ドーナッツ/ホロウ・シカエルボク
エイト・ビートを告げるカウントの
ワンとツーの間に落ちたものを探す
飯を抜かれた犬のように
鼻先をヒクヒクさせながら
裏通りで寝そべった時に見上げた釈迦の掌は
光化学スモッグのスクリーンの上で涼しい顔をしていた
ジェラートを舐めたいと思った
その時は12月で
普段そんなもの欲しいとも思わなかったけれど
ジェラートを舐めたいと強く思った
なにかひどく甘く喉を潤してくれるものを
潰れたパーキング・ビルの
封鎖された入口の有刺鉄線の前に立っていた
ちょうどデスマッチな気分だった
いらだっていて
赤子のようだった
鉄線を結んだ杭を蹴りつけると
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