桜/佐藤伊織
日常はなんともかけがえのないものなのに
サラサラと指の間から抜けてしまうような一日
何も変わらないものはないのはわかっているつもりでも
琥珀になって
世界中にそんな風に人間が住んでいるというだけで
皆同じように砂のように
すごいなあ
桜の花が咲いたよ
白く光る花弁を一枚
万華鏡に咲く満開の花の中を歩くと
どうしてこんなに皆サラサラとすり抜けていくんだろう
風が吹いている方向を影だけが
歩いている
日常が
なんのことはない日常がなんであんなに輝いていて
それが「毎日」なんて言葉に集約される
嘘だよ。そんなことは嘘だよ。
どうしてみんなサラ
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(2)