カタクリ・カレー/umineko
ー偉いわね。母は言う。もう駄目だ。観念して、あたしはそのカ
レーもどきを御飯にたぷたぷにかけて、最後の審判を待つ。母のひと
くち目を横目で見ている。
母親のスプーンが、そこで、止まる。まあ愛ちゃん、これは?あ、こ
れね、片栗粉をね、お母さん。ふーん、面白いね、さすが愛ちゃん、
アイデアあるね。…え?
母は黙々とそのカレーもどきを平らげ、うーん、ちょっと薄いけどね、
そう言ってお皿をシンクに片付ける。ご苦労様。愛ちゃん。
あたしは部屋に戻って。一晩中、泣いた。
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