カタクリ・カレー/umineko
 
その日。異様にお腹がすいていたらしいあたしは、目分量でなみ
なみと野菜スープをこしらえてしまった。カレールーを割り入れる。
(もちろん、カレー粉なんてゆう気取ったグッズは存在しない。)で、
煮込む。駄目だ。カレールーが少なすぎ、カレー色のさらさらスープ
でしかない。刻々と夕食の時間は近づいてくる。両親共に働きに出て
いるので、ひとりぼっち。窓の外で、かさかさと風が鳴く。

シンクの扉を片っ端から開けてみても、買い置きのカレーはない。ま
だコンビニも近くになかった頃だ。途方にくれたその時、その白い紙
筒が目に入る。そうだ。片栗。

水溶きした片栗をいれればいいんじゃないか。ほら
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