酩想における散文詩 / ****'01/小野 一縷
素早く黒く内転する北風。
見え隠れしている
耳と口の部品である言葉の
調律が乱れたままの
時の音階。
銀と黒の液体が出会う不純なる海峡
沸き立ち割れる泡の痛み
混合物は衝突し分離される 何度も
スプーン一杯のきっかけの中
打っては返す アルミニウムとカルシウムがぶつかる
くぐもった硬い音。
私は行くに違いない 素足で また触れるに違いない 裸で
二つに分かれる前の 単一の要素を嗅ぎ求め 素顔で
苦痛と快楽の
解答と混乱の 未来と過去の。
ほとりには永遠に焚火が燈る 私が合図しない限り
振られ続ける黄金色の掌 あの岸辺を目差して
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