ほとんど麻痺をすることで僕は人を愛することが出来る/真島正人
 
ることを
承諾しきっている

僕は今、とても重大な、大切なことを口に出すことが
出来そうだが、先に書いたように
この口は禁止されている

語るべきことを語れるときに
必ず
この口は動かないように
出来上がっている

君は
皮膚を整えるように
洋服の
薄い生地を撫で

沈黙という
偉大な発明と
対峙している

僕は
呼吸器のことを
大事に考え

そうしているうちに

また時間が流れる

覚醒、

覚醒していると

何も愛など

理解できないのだと

もごもごと口を動かして

つぶやこうと努力するうちにまた

頭はぼんやりと眠り……

そして目覚めると

愛を覚えている

記憶としてではなく

受け入れるための愛を

新しい愛を覚え

人の皮膚に

恐れを抱かない心を

また獲得しているのだ

こうしてぼんやりと
頭は眠り
眠ることで
隔てられている

知ること
恐れること
離れるということ
から

戻る   Point(7)