生の回廊/吉岡ペペロ
 
女が死んだと聞いたのはいまから五日後のことだ

川沿いの夜に白がしなだれかかる頃それを聞いた

死世界のぼんぼりを幻視して生の回廊を歩いていたのは

私である筈なのに三年前別れた女がさきに成就した


思い返せばいま私は予知していたのかも知れない

綺麗に逝けたのか、それとも醜く老いさらばえた

五日後もそれを認める資格を有してはいないだろう


女が死んだと聞いたのはいまから五日後のことだ

川沿いの夜に白がしなだれかかる頃それを聞いた

死世界のぼんぼりを幻視して生の回廊を歩いていたのは

私である筈なのに三年前別れた女がさきに成就した


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