密度に欠けるプール/ホロウ・シカエルボク
ぼくは濡れた路の上に立って
ゆるやかな忘却みたいに終わってゆく雨を見ていた
15時25分をすこし過ぎたくらいで
どうしようか決めかねているみたいに
太陽がうす雲のあいだからこちらをうかがっていた
車道を車が過ぎるたびにすこし水がはねて
ぼくの鼻さきに雨のにおいがした
濡れた道の上に立って
過ぎてゆくものとやってくるものを見ていた
どちらを、ではなく
どちらも、どちらを見るともなく、どちらも
夢から覚めきらない時の脳みそみたいに
空気はあまり流れずによどんでいた
あたたかくなるための雨なのかもしれない、なぜか
そんな気がした、た
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