在処/寒雪
 

おまえは
私のそばにいるために
疲れてきたに違いない
私に見えるのは
自分の瞳が映し出した景色であって
形のない物を
素描できるはずもない


私はおまえの前でいつでも
風通しの良い存在であったか?
おまえは
求めるかわりに
降りしきる雨に打たれ続けた
私が
おまえの翼を
叩き折ってしまったのか?


なぜ?
どうして?
おまえは私にうそをついた


渇望してやまないのに
目の前から遠ざかるのは
辛いことだ
ああ、辛いことだ
おまえの不完全な衝動は
おまえから弁明の機会を
永遠に奪い去った
沈みゆく夕日がおまえの涙のように
私の全身を赤く照らす


誰か、アヴェマリアを聴かせておくれ


長い道程において
私は何度も振り返る
その時寸断なく襲いかかる
断崖絶壁にも似た絶望感が
私を駆り立てるのだろう
辛いことだ
ああ、辛いことだ


私は紛れもなくおまえの後継者なのだ

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