ひとつの景色/あぐり
 


なんにもないとおもっていたあのころが
いちばん
うしなうことをこわがっていた
わたしの手に
だれかが触れる
小さなやらかい繋がりが
ほしがればほしがるほどとおくなる

もとめていることを知られたら
それはもうえいえんにもらえないんだって

なんだかそんなことを考えて
いつもあるいていた夕暮れに
赤すぎる空はわたしの
たったひとつの憧憬でした





戻る   Point(7)