拝啓、青空/かのこ
四月のよく晴れた日
教室の窓際の席で頬杖をつきながら
虚ろなその目にさす光は
誰かが悪戯に映した空
悲しい影を落とした睫毛を縁取る萌黄
かたく結ばれた唇に新しい桜色
そのバックグラウンドに
切り取って貼付けるよ、空色
電車に乗って、遠くの街まで
あなたの知らない街まで
もう一人になる準備はできたかな
顔をあげれば、窓の向こう側は
拝啓、あの青空
あなたも見ていますか
もう確かめる術はないけれど
きっと笑っていられるように
やわらかな風が
まぶたを優しく撫でて
奪った熱をあなたに届けて
元気にやってるよと、この手紙を
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