酔歌 - 3 / ****'04/小野 一縷
 
ぼくの中の 罌粟に酔って眠っていた人魚が
目覚めて 今 
ぼくの中を広々と 悠々と泳ぎ回る
そして彼女と入れ替わりで ぼくは罌粟に酔う

彼女の航跡は 蒼く甘い帯になって
ぼくの帯熱を 暖かく照らしてゆく

彼女は歌っている 喜んで
泣きながら 微笑んで 
歌って ぼくの中を泳ぐ

ああ この快楽と呼ぶに恥じない
ああ この歓喜する血液の循環

血潮

ぼくは 罌粟の華を愛す
この身体を捧げる この精神を捧げる
その 奥深い香りの為の薪にする

現実に於いて麻薬だけが 
確実に ぼくを痛めつける
確実に ぼくを救いあげる
定められた 脳内反応 知覚の
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