『はらいそ』/東雲 李葉
たそがれが連れた波を食み
孤島へ向かった足跡かき消されて
君はそこに取り残されたまま
まだ宝島をひとり占めした気分でいる
大人のくすりは苦いから子どものみつで潤おう
夢を見るのはたやすいねと舌が乾く間もないよ
絵の具がかすれる前に渡り切ろう
桟橋が国境線になってしまうから
目が覚めたらはらいそが
遅れてきた星たちとすとれんじゃーを見つめてる
船着き場は異国のにおいを携えて
市場にからふる溢れて止まらない
さばかれて君がばらで売られていたから
一番おいしい頬の肉をもらおうか
大人の苦さに慣れてきたから子どもにはもっと甘いみつを
夢が終わってしまわぬように嚥下を繰り返してさ
さらわれた足跡をふと思い出して
桟橋から異国の船を眺めている
目を閉じたらはらいそは
針を開けた天井ととらべらーを見つめてる
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