かなしみ等式/あやさめ
 
 哀しみの絵とその音のない映画から
 スクリーンが破かれて救い出された
 洪水のない水浸しの家はとうに歩けない

 哀しみのない歩き方はやがて窓の外に出て
 降り積む雪の夜を滑り出すかどうかは
 知らないだけでいいから

 それでもこのべと雪の降り積む夜は
 否応なく誰かの腕を切り落とす
 目のない動物が声をあげずに笑うんだよ
 と語り継ぐ

 やがて明けた空から落ちてこなくなったパラシュート
 喜びのあまり打ち上げられた銃弾が戻ってきても
 誰も気にしないでと言いたそうにしているが

 喜びの声から始まるバタフライが
 ところどころで山に当たっては層を反転させ
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