蛇つかいたちの行進ラスト/吉岡ペペロ
だかむかしの社会主義国の駅みたいだ、とカタヤマがすこし興奮しながら言った
階段をあがるとこれまただだっ広くてがらんとしたコンクリのフロアに出た
むかしのサービスエリアのトイレみたいですね、ユキオが言った
落ちていた新聞を拾ってもなにが書いてあるのか分からなかった
二人で来ているようなひとはいないように見えた
五十代後半以上に見えるひとばかりがうろうろとしていた
みんな黒っぽい家着のような服装だったのでカタヤマとユキオのスーツ姿は目立っていたはずだ
カタヤマのグレー色のスーツがここではとても華やかに思えた
先生の嫌いな五十代後半のひとばっかりですね、カタヤマがニヤッとしてユキオを
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