黄色い花/さき
知らずに
湧き出る
美しい泉を
探す
旅から
私は
知らずに
戻っていた
「きっとまだ
あそこにあるに違いない」
やっと戻った
夢見がちな私に
窓辺の黄色くて小さい花は
幸せそうに
微笑んでいた
この場所が永遠
いつまでも
いつまでも
咲いていられると
本気で
信じている
ようだった
私は
知らない振りして
実は知っていた
手に入るなら
この身が滅びても良いと
思っているのに
探しても
そんなものは
ないかも知れない
ということ
だから
敢えて
探さずに
あるかも知れないという希望を
この世に残してい
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