傾き/15フィールズ
鹿威しいっぱいの
クリアなサウンド
その響きは加速を感じさせながら一定のリズムを刻む端正なロックみたい
わたしは音が弾けた方向を見定めて手を伸ばし感情を掴もうとするけど予定調和みたいにそれは消える
形あるとうめいが巡る
やっぱり音がする
もう一度音の弾けた方向を見定めるもちろんそこに鹿はいない
だめだもちろんそこに鹿はいないという言葉について考えてしまう意味なんてない意味なんてないに未だに納得のいく意味を見出だせない
わたしは立ち上がり
鹿威しを思い切り叩き割る
わたしは頭の中にたくさんの白い恒星を詰めていく体温が上昇していくのがわかる
一瞬でわたしは世界を通過していくあの世この世その世飼っている猫涙を流さない壁面ベークライトで固まった人々紫色のダイヤモンド海の果ての空空の果ての海
少し頭を傾ける
なんにもながれでなかった
戻る 編 削 Point(0)