あどけのない空洞/真島正人
 


獲得することの喜びが

樹になって

生える

生える

生える

そして、

行き着く先は、

森!

森のような、

暗闇!

そこに立てられた

陰湿で偉大なる

標識!

からんころんと

絶え間なく

立てられる足音がする

その、
足音をまずつぶせ!

皮膚の組成から

破壊しろ

破壊しつくせ



どこからか漂う

生き物の匂い

それが僕を圧縮する

陰険な楽譜よ
懺悔をしろ

君はあどけない笑顔のために
歌うべきだ

悲しみは
弾く人を選ばない

誰が弾いたとて
変わらないソナタ

そんなものは

もう止せ。

対岸は

火の海になった

こちら岸が

燃える日も近い

僕は日記をつけておこう

最後通告に見えない

あどけない日記。

人が見たら

きっと無邪気さに

失笑する。

誰だって

失笑を買えるわけではないから

それは僕の

才能だとしよう。

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