あどけのない空洞/真島正人
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1
それは
空洞と
いう名前の
留保に過ぎないのだと
口に出していた
或る夜
人はすべて
寝静まり
ベッドの上で時間が
ぐんにゃりとする
長い廊下のように
萎縮した
自意識が
かちん、かちんと
音を立てそうで、
音を立てない。
病院のような
嫌な静けさ、
赤茶けたタイルを
踏みにじる看護婦の
足音が欲しい
2
「記憶を
泥酔させればいいのさ」
と
教えてくれた友人が
連絡を絶ったのは
ずいぶんと以前だ
僕は酒をやめ
しらふを維持し
この体の自由
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