(ほのかに腐った匂いにときめく根ナシ草が見るゆめ)/佐藤真夏
 
わたしたちは時間をうまくやり繰りして乳清だらけのヨーグルトになる

触感がどうだとうではないのです(生き物なのね)あたたかい罠

皮膚擦れて 二階の角部屋は朝日に焼かれ まな板の上で震える枕

にわか雨 蝉の抜け殻着て探す 虫入り琥珀の閉じたえいえん

俯いても見上げても異国はあった 道案内の兎がいなくて(戻れなくなる)

カラなしのソコなしのたまごのこころ/なかのひよこがつつくまぼろし

草花は日のある方にかたむいて 根があったってしんどいらしい

目印はぽたぽた落とす今日のディテール 不確かな明日に突入してゆく

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