旅の宿/天野茂典
 
                 あなたの唇
                 ナチュラル・メイク
   消防車のサイレンはならないけれど
   あなたの腕には落ち葉ひろいの小さな網籠
   いっぱいにしてコラージュするのだ

   あなたはかつてバイロンがたたえたように美しい
   あなたはかつてアンドレ・ブルトンが抱いたように可愛い


   太郎を眠らせ 太郎のうえに雪ふりつむ
   次郎を眠らせ 次郎のうえに雪ふりつむ*

 桜の木の下で
 あなたが言ったようにたくさんの落ち葉がちらばっていた

 そうしていつしか
 青空からは白い雪がふりはじめ あなたも
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