雪の朝のコンポジション/salco
 

女達の呻吟はソプラノ、アルト、メゾソプラノの和声で彼の受験勉強を励まし
抜けなくなった交尾の犬が半音階の悲鳴を曳きながら外周を6本足で走り回る

清々しい冬の朝である
赤城山麓の廃校では村人達が日の丸旗を振り万歳三唱で門出を祝っている
時の通産相 田中角栄が列島改造論をぶち上げた昭和47年、
犬は御飯に味噌汁のぶっかけ、猫はかつお節のねこまんまを食っていた
祖母 井関スエが餅を喉に詰まらせて死亡するのは翌年の正月、
享年72。
戻る   Point(6)