ピエロに扮するポール/メチターチェリ
赤色のじゅうたんのうえを靴音をしのばせながら歩く。
五歳のポールは早くも昨日の夜からカルナヴァルの予感を感じていて、鏡の前で衣装あわせ。
おしゃまな彼は、オペラ座の舞台で道化を演じる花形ダンサーよろしく、
自分をより良く魅力的にみせる訓練に余念がない。
ほんとはこの服、よごしちゃいけないからってママはお祭の日まで着させてくれないんだ。
ママに見つかったらおおめだま。
だからこっそり気づかれないように、
クロゼットの部屋までじゅうたんをゆっくり踏みしめてゆく。
とんがり帽子は去年ノエルの学芸会で東の賢者をやったときのもの。
マスクは自分で作ったんだ。
この前パパとママに連
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