『孤立無援』/東雲 李葉
声のない生活にも慣れ雨音と会話もできそうだ。
滴る粒は虚しさを積み上げ見ているはずが逆に見られているような、
錯覚。もしくは他者を望むがゆえの幻覚。
ここには最低限のものしか無い。生きるためには自分だけで良い。
時折熱を求めようとも依ることなく両足で立ち続けよう。
この手は掴むためではなく拳を向けるためにある。
僕は生きるために強くなる。
孤立せよ、と本能が告げる。生まれた時から刻み込まれていた。
孤立せよ、と身体が叫ぶ。誰と繋がっても離れる時が来る。
明日も分からぬ生活でも行き場を無くしたりしない。
溜まった水が溢れる前に空の容器を差し出して。僕が今見つめているのは、
孤独。呼応しているひとつの鼓動。
例え誰かが踏み入ろうとも拳がすべてを解決する。肉体的な言語を用いて。
時折誰かを求めようともその手を握ることはない。
この手は掴むためではなく拳を向けて戦うために。
僕は生きるために強くある。
生きるために独りでいる。
生きるために独りになれ。
蒔かれた種はバラバラに孤立しながら生きている。
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