蛇は転ばない/
吉岡ペペロ
う二度とチャンスは来ないだろう
ユキオは鼻から太い息を吐いてそう思った
コガネイ係長と別れて工場内のトイレを借りた
ユキオは手をよく洗い指に石鹸をつけそれを鼻につっこんだ
蛇口に鼻をもってゆき水道水を思いきり吸って出した
それをなんどか繰り返して顔を上げた
蛇は転ばない、
鏡に映るじぶんを見てそんな言葉が口をついて出た
カタヤマも蛇なら転ばないはずだと思った
戻る
編
削
Point
(7)