蛇は転ばない/吉岡ペペロ
 
う二度とチャンスは来ないだろう
ユキオは鼻から太い息を吐いてそう思った

コガネイ係長と別れて工場内のトイレを借りた
ユキオは手をよく洗い指に石鹸をつけそれを鼻につっこんだ
蛇口に鼻をもってゆき水道水を思いきり吸って出した
それをなんどか繰り返して顔を上げた

蛇は転ばない、

鏡に映るじぶんを見てそんな言葉が口をついて出た
カタヤマも蛇なら転ばないはずだと思った




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