蛇は転ばない/吉岡ペペロ
うなひとに係長の所在を聞いてゆくことにした
所長とすれ違った
こんばんは、ぐらいの軽い会釈をいつもはするのだができなかった
歩いてくる所長の目があきらかにユキオを睨みつけていた
係長と会ったに違いない、係長はあっちにいるんだ、
所長の轍を踏みつぶすようにしてユキオは歩いていった
所長の安っぽい香水の匂いが口のなかに入り込んできた
コガネイ係長はユキオの話をうなずきながら聞き
オレはあいつキライなんだよ、だいたいきみんとこを辞めてすぐ違う会社の人間になるんだからさ、なにが不満だったのか知らないけど、と言ってユキオの顔を見た
メーカーもあれからすぐ電話してきてさ、何様だよ、違
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