最初の音/高梁サトル
されていく
すべて盗人のせいにして
部屋中にピアノの鍵盤を並べては
子供の遊戯に似せた狂気は
さても美しいメロディを奏でる
複雑な図形楽譜の終わりのダ・カーポ
疲れない精神と契約した
身体の表面に雨粒が幾つ降り注いでも
けして元に戻れはしないのに
幾何学模様の砂漠をゆく
鉱脈を探し続けたつるはしは折れて
焼けたブロンズの背中で見る夢の中
人魚の吐息が光芒で揺れている
i a a i e…
音を失った渇いた喉の奥で
七番目の幻想が歌っている
i a a i e o o u a n…
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