受精/ホロウ・シカエルボク
発光し続けて
磨耗するフィラメントの
舌打ちみたいな最期の音
疲れた寝床で
その音が何度も弾けた
落ちようとする
意識に
電流を流して起こすみたいに
じじじと
じじじ、と
思えば消え去るときは
いつもそんな具合だった
過剰を嫌う映画みたいに
なんらかの小さなつぶやきで
すっと
居なくなった
すっ、と
茶器を残したまま
人だけが消えた家みたいに
凍結した唐突さが
不在を強情にする
あなたは、そうだ
わたしは
あまりにも唐突すぎて
あなたのなりたちを忘れた
あなたを、あなたを構成していた
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