悪ふざけ/中原 那由多
 
つめることに嫌気が差していた頃は
ひたすら乾ききった空気を吸い込んでいて

溢したジュースの酸味、あるいはそのベタつき加減
素直に受け入れられなかった

ジョーカーを押し付け合うように臆病で
騙されないように誰かを騙した

ありきたりなジョークが特別に可笑しくて
新しく器を買うことを考え直すことにしたら

甲高い声を出せるようになっていた


後ろ指を指され続けた青春時代
体育館の隙間に安らぎを求めて
小指の怪我を強がった
誰にでも雨は降り注ぐけれど
傷口に沁みる中、掴もうとしたのは
いつも高嶺の花でしかなかった




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