あなたに 愛を/瀬崎 虎彦
階段は途中で空につながる
これ以上は歩けないかな、と思って
これ以上は歩けないかも、と思った
風がとても心地よい季節のことを
寂しさを微塵も感じないで過ごした
短い時間のことを振り返った
これ以上は歩けないから、と思って
これ以上は歩かないから、と思った
あなたに 愛を
いま いますぐに
誤解だよ
幻だよ
まだまだ歩けるよ
ここにいるよ
階段を接いで
悲しみを湖に注いで
話の糸を手繰り寄せて
あなたに 愛を
いますぐに
そして悲しみにリボン
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