十六歳/薬指
彼女はいつも小さなベランダから
校舎裏の駐車場で
憂鬱に潰されてかかっている俺を見つけては
静かに螺旋階段を下り
情熱も慰めも含まれていないキスをくれた
唇が触れた跡には淡い火傷のような感触が残り
その傷口からは
彼女の切なさがじわじわと溢れてくる気がした
キスはどんなに長くても三秒ほどで終わり
済んでしまうと俺は煙草を吸い始め
彼女は隣で
晴れた日は空を見上げながら
曇りの日はうつむいたまま
長い間夢でも見ているかのように
じっと黙っていた
彼女はとても頭が良かったから
俺に大切なことをいくつも教えてくれた
もし貴方が幸せでいたいと思うな
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