迷宮の殻/月乃助
ここは 来たこともない街角
さもなければ
山色の険しいけもの道
道標もない白い雪原
あたしは一人ぽつねんと 立っている
足あとさえもなくして
道に迷ったのです
どうしてか 子どもの声ばかりが、遠くにする
あんなにしっかりつないでいた
手の 温もりは消え去り
誰もそこにはいないのですから
いて欲しい時には、姿をみることもなく
期待をすることもなくなった
足かせを引きずるように
通り過ぎる人は、みな目をそらせながら
行き過ぎていくばかり、
知らない鳥の
卵の殻を身にまとった
あなたは誇らしげに言った
生まれ変わった と、
返事
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