Goodbyebirdと名付ける/たちばなまこと
 
左折レーンにいた
交差点にしゃがみ込む人たちを見た
赤い小さな水たまりを見た
音声を風が運んだ
がんばって…
がんばって…
助手席の彼女が見たもの
人の言葉を持たない小さな生命が
消えゆきそうになっている
今朝もあらゆる光に
黒目を艶めかせ
無垢に吠え
しっぽを振っていたであろう
きみが


枯れ葉が蝶に
つむじ風が螺旋に
不意に視野を入れ替える
私は土の上に裸足で
生成りの服で
しゃがみ込んでいた人たちも立ち上がり
見送り人(びと)になる
きみの栗毛の背中から
羽が生え
ふたたび瞳は黒く開かれ
今朝も見たであろう光を見上げる
きみをGoodb
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