ゆでたまごの朝/鵜飼千代子
 
幸せは 手に入れた瞬間から
少しずつ こぼれていくから
             
幸せを 手に入れたなら
真空パックで 密閉して
             
もう 無くしてしまわないように
幸せを 膨らませるための努力より
幸せを 空蝉と納得せずにすむ為の
努力をしていた

聞いてもらうことで癒されることは
わかっていて 
聞いてもらうことで負わせることも
わかっていて
二人とこころのバランスのはざまで
たゆたっていた


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