生きて在り続けること ミシェル・ウエルベック 拙訳/banjo
 
世界とは拡散した苦しみである。世界の始まりには、苦しみの結び目がある。あらゆる存在は展開であり、圧搾である。あらゆる事物は苦しんでいる、すべてがあるべきものとなるまで。虚無は痛みで身を震わせている、ある卑猥な発作の中、存在にたどりつくまで。

存在は多様化し複雑化していく、しかし元来の質をついぞ失いはしない。ある水準の認識が叫びを生む。詩はそこから生まれ出る。分節言語もそこから生まれる。

詩作の第一歩は起源への遡行である。知へ。つまり、苦しみへ。

苦しみの様相は重要であるが、本質ではない。すべからく苦しみは善良である。すべからく苦しみは有効である。すべからく苦しみは実り多く、
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