蛇たちの疾走/吉岡ペペロ
 
タヤマとじぶんを重ねていた
カタヤマはカタヤマで山頂に向かって登っているのだ

カタヤマは蛇つかいだ、オレたち蛇が更正すればいいんだよ、

蛇が更正すれば、みんな蛇つかいになれるのかも知れない
みんな睨みあったり威嚇しあったりしている暇などないはずだ

暇などないはずだ、

ユキオの思考がふっととまった
所長がリピートなしで三百万くらいやっていたことを思った
所長が敵になることによって減るであろう売上を思った
ヨシミとの待ち合わせの場所が近づいてきた
昼の宇宙に銀河のような桜花のかたまりが爆発していた
ユキオは浮ついていたじぶんを恥じた

でも、季節ってのも、蛇つかいみたいなもんだよなあ、

誰に言うともなくそう呟いてユキオは、明日からがんばろう、と思った
待ち合わせの電気量販店の駐車場にはいるとヨシミの影はすぐ分かった






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