ドライ/中原 那由多
 
り続けるファンの音には
いつも意識を掻き回されてしまう
熱帯魚に憧れてみても
知らない水槽の中には個性しか散らばっていないからと
つい言い訳に走ってしまい
勝手に一人で笑っている


目的地にさえ到着すれば
どんな近道でも遠回りでもかまわない

行き当たりばったりなモラトリアムでは
裸の街路樹に風船が引っ掛かっていて
それを見上げている間はまだまだ子供だから
背伸びしているくらいがちょうどいい



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